清楚な初恋の子に久々に会ったら派手になってて複雑になる感覚を再開発された駅に感じた
「昔の方が良かったのになぁ」
というのを聞く度に「いやいや今の姿も認めてあげようや」と思うけどその気持ちが少し分かった。
汚くて古くて真昼間から怒号と缶ビールのプルタブを捻るプシューッが響き渡る。
マジで治安の悪い駅だなと思っていたが、駅を出てすぐの商店街は人のあたたかさと治安が悪さが共存しているのを学生時代にこの街でバイトして知った。わざわざ用も無いのに用を作ってたまに行くくらいには、何も隠していないこの街にそこそこ愛着が湧いていた。
意味の分からないジジイに急に「目つきが悪い」と怒鳴られたり、優しいおばちゃんに励まされたり、かと思ったら知らんババアに「そのクーポン使うには~」と説明したら「こんな若い子になんでそんなこと言われなあかんの!気悪いわ!」と言われたので「いやこっちが気悪いわ」と返したのもこの街だ。(なんかあんまいい思い出ない気がしてきたな。)
それがどうした、再開発で駅だけ綺麗になってしまった。
ホームの柱も改札付近のゴミ箱もコインロッカーも全て緑に塗られて、ホームの壁には植物が描かれてデカデカと「自然と共存している駅ですよ!」アピールをしている、緑なのに落ち着きがない、落ち着いてくれ。
おまけに改札外には植物の写真が展示されまくってた。展示の前に点字ブロックを綺麗にしようや……いや、この唯一薄黒い点字ブロックを見ている時だけは安心できるからやっぱこのままにしておこう。
どうしたどうした、共存しているのは人のあたたかさと治安の悪さだっただろう。
こんな駅じゃ昼からビールも飲めない。
塗装の剥がれたきったねぇホームのイスもいつしか綺麗なイスに変わっていた。
ホームに電光掲示板が未だに設置されていないのが救いかと思ったが、自然と共存していますアピールなので電光掲示板が無いのかもしれないとか余計なことまで考えてしまう。
駅から1歩出れば知っているあの頃のままの商店街だった。ちぐはぐすぎて脳がバグる。
昔の方が良かったのになぁ